Without saying the goodbye K-Side
本部からの緊急通達が届いた。
何時ものペコポン侵略進行状況の報告を催促するものだと思ってろくに目を通さず
に元ロッカーの通称腐界の森へと投げ入れる寸前で、視線に止まった文字列にケロ
ロは我が目を疑った。
「惑星メガトン侵略中のベタタ小隊隊長以下五名が食中毒により帰国。
その為同惑星を侵略する新小隊を編成。
ケロロ小隊のギロロ伍長を急遽隊長に任命。
ギロロ小隊として惑星メガトン侵略作戦の指揮を執る事を命ず。
是によりギロロ伍長は三階級特進。
隊員は既に、現地、待機中・・・
マジッスカ・・・。」
これは喜んでやるべきか。
それとも悲しむべきか。
否、喜ぶべきに決まっている。
いくらギロロがケロロ以外は隊長にはしないと言ったところで所詮下っ端の戯言で
しかなく、本部の意向に逆らえるものではない。
小隊から隊長に抜擢されていくなんて名誉以外のなんでもない。
挙句に三階級特進とくれば階級は准尉でエリートコースに組み込まれたも同然。
ケロロは「資格」があって隊長になったのだから戦死しようが精神汚染が認められ
ようが隊長以外にはなれない。
ギロロが隊長に任命されたということは遠からずケロロと同じ運命になってしまう
訳で、そうなってしまえば部下と隊長という形は崩れる。
唯一の救いは「資格」があるとまだ認定されていない事か。
資格があるかどうかはケロン星に行って審査を強制的に受けさせることで判るのだ
から、まだそれが行われていないギロロならこのまま通達を揉み消す事でそれを回
避できる。
回避できるということは隊長にさえ就任させなければケロロとの今の形を保つ事が
出切るのだ。
「ギロロには悪いけど・・・吾輩ギロロを手放したくないでありますよ・・・」
もう二度とあんな思いをするのは嫌だ。
一緒に居たいのに、好きな時に一緒にいられないなんて。
あんな苦しい思いをするのはもう二度としたくない。
ギロロと離れ離れになるくらいならこんな通達なかった事にしてしまおう。
どうせ口先だけで本部をなんとかできるわけがないのだから。
このまま未提出の書類の山に埋もれさせておこう。
一ケ月も経ってしまえば本部だって他に隊長を選抜して送り込むに違いないのだか
ら。
自分がこうして知らない振りをしていればギロロに責はないし、早く行けなんて追
伸が来た所でまた知らない振りをして揉み消してしまえばいい。
報せてしまうのも面白くないし、このまま揉み消してしまっても面白くはないから
自分が楽しむ為に、ギロロの慌てた姿を見るために、これが無効になった所で話を
持って行こう。
「ゲロゲロリ。」 |